遺産分割

ケース2.主な財産が不動産しかない

Fさん

父が亡くなったのですが、父の財産は土地があるだけで、預金もありません。
不動産以外に特にめぼしい財産がないんです。
ただ、登記名義を変えなくてはいけないので、手続をお願いします。

承知しました。
なお、把握されている相続人はどなたですか?

司法書士
Fさん

私と弟の二人です。
なので、単純に、不動産を二人で2分の1ずつ分けて、共有にすればいいのではないかと思うのですが…

ああ~、兄弟姉妹での共有はお勧めできません。

司法書士
Fさん

えっ!そうなんですか?
1番シンプルで、もめることもないし、良いんじゃないかと思いますけど。

いえ、むしろめる可能性が高いんです。今ではなくて将来に。

司法書士
Fさん

え、どういうことですか?

例えば、共有にした場合、いずれ、共有者の誰かがその不動産を売ろうと考えたり、その不動産を担保にしてお金を借りたいと考えたとします。
この場合、共有者全員の同意が必要ですので、もし、他の共有者が反対すれば、それは叶わないことになります。

司法書士
Fさん

いざというときに売れなくなるんですね。

それに、共有者の誰かが亡くなると、その相続人たちが持分を承継するため、共有者が増え、さらに同意を得ることが難しくなるんですよ。
その中にもし、疎遠の人がいたりすると、連絡すること自体大変になります。
売却等まで相当な時間がかかったり、時には断念せざるを得なくなるのです。

司法書士
Fさん

確かに。手続きに苦労する未来が見えますね。
では、どのように遺産分割すればいいのでしょう。

遺産分割の方法としては、以下のやり方があります。

司法書士

現物分割
→ 相続財産をそのままの姿で相続分に応じて分割する方法
例)土地を相続人の持分に応じて分筆登記し、それぞれ独立の土地にしたうえで、単有名義に変える。

もし相続財産が建物の場合、物理的に分けることは非現実的なので、この方法は無理ですが、広い土地であれば適した方法です。

司法書士

換価分割
→相続財産を売却して、売却代金を相続分に応じて分配する方法
例)土地・建物を第三者に売り、その売却代金を相続人間で分ける。

遺産である土地・建物に住み続ける意思を持つ相続人がいる場合には、この方法は困難です。

司法書士

代償分割
→ 相続人(A)が、法定相続分を超える財産を現物で全部取得し、その代わりに、他の相続人(B)に対して、代償金を支払ったり、Aの所有する他の財産を交付する方法
例)兄が自宅である土地・建物全てを取得し、その代わりとして、兄が弟に対し、弟の相続分に相当する現金を払う。

この方法をとる場合には、代償金を捻出しなければならないという問題があります。
もし、資力に余裕がない場合には、土地・建物を取得する相続人は、銀行などから借り入れして、できる限り一括して支払うか、分割払いにするにしても、取得する土地・建物に抵当権を設定するなどして、代償金を受け取る他の相続人を安心させるようにしましょう。
なお、生命保険金の受取人となっているのであれば、生命保険金を代償金にあてるのも一つの手ですよ。

司法書士
Fさん

私も弟も、特にこの土地を使う予定がないし、換価分割が、ウチの場合には合っているかもしれません。
弟と話してみます。

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