
父が亡くなったので、相続手続をお願いします。
相続財産の内容を確認させてください。
…なるほど、土地〇筆と建物〇棟、預貯金〇〇円、株式、車〇台…。
生命保険金も〇〇円おりたのですね。


父は事業をやっていたので、かなり財産を残してくれました。
ありがたいことです。
相続税がかかりそうですね。


え!?
相続の際は、相続税の検討もする必要があります。
まずは、「基礎控除額」の範囲内に収まるか検討してみましょう。

基礎控除額
3000万円+(600万円×法定相続人の数)
★ 基礎控除額早見表
法定相続人の数 | 基礎控除額 |
一人 | 3,600万円 |
二人 | 4,200万円 |
三人 | 4,800万円 |
四人 | 5,400万円 |
五人 | 6,000万円 |
六人 | 6,600万円 |
基礎控除額の範囲内に相続財産が収まれば、相続税はかからないため、相続税の申告は不要です。


うちは、母も亡くなっていて、法定相続人は私と姉二人だから、4,200万円以内に収まれば、相続税はかからないのか…
ん?そういえば、父が相続税対策だと言って、私の息子、要するに父の孫を養子に入れていました。
この場合は、どう考えるのですか?
Aさんの息子さんも、お父様の相続において法定相続人になりますので、人数に数えます。
よって、法定相続人三人ということで、基礎控除額は4,800万円です。


ということは、将来の相続を考えた時に、養子縁組をたくさんして養子を増やしておけば、基礎控除額の枠が広がりますね!
実は、そのようなやり方を防ぐため、税法上もバッチリ対策済みです。
もし、法定相続人の中に実子がいる場合には、養子は一人までしか、基礎控除を計算する際の「法定相続人の数」に入れられません。
一方、実子がいない場合には、養子は二人までしか入れられないとされています。


そう甘くはないですね~。
あっ、もし、相続人の中に、裁判所に相続放棄手続をした人がいたとしたら、どうなるのですか?
基礎控除額の計算上は、放棄がなかったものとして法定相続人の数を数えることになっています。


う~ん、父の相続財産全部を計算すると、大幅に基礎控除額を超えてしまうなあ。
実は、生命保険金にも非課税枠があります。
相続人が生命保険金を受け取る場合に限って、「500万円×法定相続人の数」の額については、非課税の扱いとなります。
ただ、Aさんの場合、非課税枠を考慮しても、基礎控除額を超えてしまうので、相続税の申告が必要です。


相続税はいくらくらいかかりますか?
それが…簡単に計算できるものではないのです。
相続財産の算定や、相続税の計算はとても複雑で、専門的な知識が必要な場合も多くあります。
ですから、明らかに相続財産が基礎控除額の範囲内であるとはいえないような場合には、税務署や税理士にご相談されることをお勧めします。
なお、弊所では、提携している税理士がおりますので、ご紹介もできます。


あー。
でも、今、仕事が忙しくて余裕がないので、落ち着いてから税金の問題に取り組みます。
それはちょっとまずいです。
相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から十か月以内にしなければなりません。
遅れると延滞税がかかりますので、急がなければなりません。
気を付けてください!
