
祖父が亡くなったのですが、ずっと相続手続をしていなかったようです。
そろそろ相続手続をしようという話になったのですが、お金に余裕がないので、自分でできないものかなと思っているんです。
それって可能なことなんでしょうか。
もちろん、可能ですよ。
ただ、ご自身で手続きを行う場合、多くの方がぶつかる壁が3つあります。

1つ目の壁 → 戸籍集め
相続手続においては、戸籍の提出を求められることが非常に多いです。
集める戸籍は、
① 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍
② 相続人全員分の戸籍
戸籍を読み解くには、戸籍の知識が必要なため、どの戸籍が必要なのか判断するのも大変な作業です。
また、平日に仕事を休んで役所に足を運んだり、遠くの役所には郵送で戸籍の取得請求をするなど、相当な手間と労力がかかります。


戸籍は郵送でとれるのなら、何とかなりそうだけど…
Aさんの場合のように、長年相続手続をしていなかった場合には特に複雑になり、大変さが増すんですよ。
もし相続人の中で亡くなった人がいる場合、その子供たちに相続権が承継されています。
相続人の数が増えれば、その分集める戸籍が多くなります。
ずっと昔に作られた戸籍ですと、保存期間終了により廃棄されてしまったものや戦争で焼失してしまったものもあります。
一般の方ですと、戸籍集めには慣れていませんので、全ての戸籍を集めるのには多くの時間とエネルギーを要します。


祖父は子供が6人いたからな…
亡くなっている人もいるから、確かに戸籍集めには苦労するかも。
お祖父様は、不動産をお持ちでしたか?


はい。
私が住んでいる県と離れた県に、畑と田をいくつか持っていて、まだ祖父名義で残っています。
不動産の名義変更が、壁の2つ目です。

2つ目の壁 → 不動産の名義変更
被相続人が不動産を持っていた場合には、相続人に名義を変える必要があります。
名義を変えるためには、法務局に対し、「所有権移転登記」を申請することになります。

インターネットを調べたら、申請書のひな形が載っていましたので、
それを参考にすれば、申請書は簡単に作れそうです。
今は本当にネットで何でも調べられて便利ですよね。
ですが、相続の登記の場合、申請人の相続の内容によって、申請書に添付すべき書類が大きく異なります。
ですから、問題なく登記が実行されるためには、ご自身で本を読んで勉強をするほか、管轄の法務局に出向き、登記相談を受けることとなります。
無事申請ができても、間違いが判明した場合、補正のため法務局に行く必要があります。
一般の方ですと、少なくても2~3回は法務局に行く覚悟をした方がいいですよ。


法務局は平日しか開いてないんですよね。
平日は仕事なので、休んでまで法務局に行くのは難しいな…
しかも、Aさんの場合、不動産の管轄法務局は遠くですよ。
この点、司法書士であれば、どんなに遠くの法務局でも、インターネットで登記申請できます。


なるほどね~。
そういえば、祖父の銀行口座がまだ残っていました。
それが3つ目の壁です。

3つ目の壁 → 預貯金口座の解約
被相続人が亡くなった事実を金融機関が知ると、預貯金の口座が凍結されます。
よって、解約してお金をおろすことが必要なのですが、解約手続きには、それぞれの金融機関に相続人の誰かが行く必要があります。
そして、各金融機関所定の用紙をもらってきて、相続人全員が署名・捺印(実印)をし、戸籍や印鑑証明書等を添付して、再度銀行に出向き提出します。
この提出1回あたり窓口でのやり取りや待ち時間だけでも1時間以上は軽くかかります。
多くの金融機関の窓口の営業時間は平日の9時~15時ですから、この時間内に行かなければなりません。
口座がある金融機関が多くなると、解約だけでも相当の時間と労力を費やすことになります。


平日仕事の自分には厳しいですね…
確かに、相続手続を自分でやるのは、費用はかからなくても、手間がかかりすぎて、割に合わないかも。
相続手続には必要書類が多く、また、その作成には神経を使います。
間違えると、やり直しになってしまったり、後々トラブルに発展する可能性もあります。
相続に精通した司法書士に依頼をすることによって、お客様の手間を大幅に削減できますし、正確に書類を収集・作成できますので、スピーディに手続を進めることができます。
司法書士に依頼をして、早く相続手続を完了させ、肩の荷をおろしましょう。
